人材育成コラム
2022.08.31 フォロワーシップ

チームの成果を最大化する「フォロワーシップ」育成 基本その2

前回に続き、フォロワーシップを発揮できるチームづくりや、その育成に役立つ情報をお伝えします。

今回は、中堅や若手といった階層ごとでの異なるフォロワーシップのあり方や、フォロワーシップを発揮できる人材の育成について、具体的なポイントをご紹介します。

リーダーシップとフォロワーシップ、実は同じ?

チームで成果を出すために欠かせないものとして、リーダーシップを挙げる人も多いのではないでしょうか。

では、リーダーシップとフォロワーシップの間には、どのような違いがあるのでしょうか。いずれも「チームの成果を最大化するために自ら判断し、それによって周囲に良い影響を与える」ことであり、実は本質的な違いはありません。

例えば、中堅メンバーが発揮する影響力は、上司の立場から見ればフォロワーシップとして映りますが、上司が発揮する影響力は、部下や若手メンバーの立場から見ればリーダーシップとして映るでしょう。
つまり、リーダーシップとフォロワーシップとは、自らが置かれた立ち位置によって変わるものということができます。

中堅メンバーのフォロワーシップは「上下左右」

中堅以上のメンバーには、部下としての役割、後輩の支援や指導を担う先輩としての役割、自ら課題を発見して、その解決に向けて周囲に働きかけるメンバーとしての役割など、さまざまな立場や役割があります。そのため、フォロワーシップにおいても、「上位者に対する提案や補佐」もあれば、「同僚や後輩に対する支援やサポート」や「前後工程や関係者に対する協同」もあり、全方位に向けて影響力を発揮するものになります。

指示されたことを実行するだけの風土が根付いているチームや、独自のアイデアや顧客起点での発想に乏しいチームを観察すると、フォロワーシップが十分ではないケースが見受けられます。

中堅層のメンバーは、近い将来のリーダー候補でもあります。この時期にしっかりとフォロワーシップが発揮できると、リーダー昇格後、同様のことを部下に求めるようになります。
良いフォロワーシップが継承されていくことは、チーム力の向上につながるのです。

若手メンバーのフォロワーシップ=メンバーシップ

一方、若手メンバーにとってのフォロワーシップは、自己成長に近い概念です。
この層では、チームの目的を理解し、その中で自分ができること、やるべきこと、そしてやりたいことを見つけていくことが重要です。

まずは、「上司は自分に何を期待しているだろう」という、チームの一員としての自分の役割を考えるところから少しずつ視野を広げていくようにすると良いでしょう。

その上で、顧客起点での課題発見や解決のための具体的な方法論を実践の中で学びながら、チームの中で自分自身の価値提供が出来るようになることこそが、若手が目指すべきフォロワーシップです。

フォロワーシップが発揮されるチームづくりのポイント

フォロワーシップを効果的に発揮させるためには、まずは企業のパーパスなどの上位概念をブレイクダウンし、チームの目的やビジョンをメンバーたちにしっかりと共有化していくことが必要です。

パーパスから落とし込んだチームの目標を自分ごとにすることで、主体的に役割を果たしていく意志を持つことができれば、フォロワーシップにおいて最も大切な当事者意識が育まれていきます。
そして、目的やビジョンとのつながりの中で、自身の目標や課題の意味や意義を腹落ちさせることが、さらなる当事者意識の醸成につながるのです。

フォロワーシップは影響力であるとも言えます。有効に機能するには、正しい自己認識力が前提となります。

自分が認識するイメージと周りの評価があまりにもかけ離れている状態では、正しい状況理解と適切な対応が出来ないため、周囲に良い影響を与えることができません。
上司や人事担当、同僚や部下などによる360度の多面評価を実施することで、より効果的に自己認識力を獲得することが可能となります。
自己認識力の獲得は、フォロワーシップを発揮する上でとても大切なことなのです。

フォロワーシップは、経験の積み重ねの中で培われていきます。
経験となる行動を引き出すためには、職場における心理的安全性を担保することが大切です。上司への提言、課題の発掘や関係者を巻き込んでの解決、後輩への指導などに自ら仮説を立てて実際に取り組み、PDCAのサイクルを回していくことが、チームと個人の成長を加速させ、多様性の時代を勝ち抜くためのフォロワーシップを育むことにつながっていくでしょう。

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