部下の成長を促し、チームの力を高めることが期待できる「1on1」。
しかし、上司と部下が1対1で対話する時間を設けても、取り組み方によっては期待するような効果は得られません。
今回は、効果を発揮しない1on1に見られるいくつかの特徴について解説します。
上司が一方的に話してしまう
1on1を実施する目的は、上司が普段の業務の中では知ることができない部下一人ひとりの思いや問題意識に触れることで、個別の状況に応じたケアや成長サポートをすることです。
つまり、本来の1on1は、「上司が部下の話を聞くための場」という意識で行われるべきものといえます。
しかし、実際には上司が部下に対する期待や指導事項、上司自身の経験などを一方的に語って聞かせる場になってしまうことが少なくありません。
上司が1on1に慣れていない場合には、まずは、ちょっとした部下の近況や日常生活に関する雑談で構わないので、部下が話し、上司が聞くというスタイルに慣れることを最初の1歩とすると良いでしょう。
何かを教えるための場になっている
同様に、指導の場にしてしまうことも、効果的な1on1の運用とはいえません。1on1の場で上司が部下を指導することが常態化すると、部下の側に「いつでも答えを聞ける」という過剰な依存心を植え付け、自ら考えて乗り越えていく経験を与えたり、そのための力を付けさせることが出来なくなってしまいます。
1on1は指導や指示の場ではなく、部下が話して考え、上司は対話の中で部下自身が気付きを得るためのサポートをするものです。1on1だからこそ得られる成果を引き出すためにも、対話と指導の時間はしっかりと切り分けるようにしましょう。
客観的な評価ができない
1on1は上司と部下がともにつくり上げていくものですが、より有意義なものにするためには、上司自身が1on1の進め方について振り返りを行い、改善や調整を重ねていく必要があります。
しかし、上司が部下の表面的な反応や言葉から「部下も満足している」「1on1はうまく行っている」と判断してしまうと、それ以上の改善は生まれません。上司自身が自己を客観視して振り返ることで、1on1は上司にとっても、部下にとっても、実りあるものになるでしょう。
テーマに縛られすぎている
「今日はこんなことを話そう」「先週のあの話の続きを聞こう」など、ある程度テーマを決めておくことは、限られた時間の中で行う対話をより深いものにします。
しかし、事前に決めておいたテーマに縛られすぎるあまり、本来、自由であるべき対話が窮屈なものになっては意味がありません。
大枠の方向性は共有しながらも、自由な流れで、部下が話したいことを話せる雰囲気をつくるよう心がけましょう。
まとめ
今回は、効果を発揮しない1on1に見られる特徴について解説しました。1on1を実りあるものにするため、以下の4つのポイントを確認するようにしましょう。
・上司が一方的にしゃべり、部下の方が聞く立場になっていないか
・自由な会話ではなく、指導の場になってしまっていないか
・1on1の成果について、客観的な評価や振り返りが不足していないか
・事前に決めたテーマが、自由な対話の妨げになっていないか
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