1on1を、組織を良い方向に変えるための有益な機会にするためには、部下と上司が話をする前に押さえておきたい、いくつかのポイントがあります。
今回は、1on1の設計や運用、そして評価の観点から、効果を最大化するためのポイントを探っていきましょう。
定期的に実施する
1on1は、一度で何かを劇的に変えるのではなく、上司と部下が対話を積み重ねることで少しずつではあっても、着実に効果を生み出す施策です。まずは定期的に実施することが前提となります。
また、業務が忙しい・会議が入ってしまったなどの理由により、簡単に1on1の実施を保留にしてしまうと、再度実施されないまま形骸化してしまうケースも多く見受けられますので、短い時間の対話でも可能な限り継続して行うようにしましょう。
1on1実施のタイミングについては、前回からあまり間を開けすぎないのが理想ですが、職場の状況に合わせて、上司と部下の双方が無理なく続けていけるペースで行うようにしましょう。
簡単なテーマを決める
1on1において、進め方などに関する細かいルールを設けすぎてしまうと、その本質を外してしまうおそれがあります。
しかし、特に1on1に慣れていないうちは、自由に話せといわれても、なかなか弾む会話にはなりにくいものです。対話の流れやきっかけを作るために、はじめに上司が「1週間の近況について話そう」「前回の1on1でトピックにあがったことについてのその後のことについて話そう」といった簡単なテーマを示し、部下にとって、話しやすい状況を作ることも良い方法です。
記録を残す
1on1を短いスパンで行う場合や、部下の人数が多い場合、上司にとっては、話した内容の全てを記憶しておくことは困難です。対話の連続性を保ったり、深めたりするためにも、部下が話したことを、簡単なメモとして記録に残しましょう。それまで部下が話してくれたことを踏まえて1on1を進めることは、上司が部下に対し関心をもって接しているという姿勢を示すことにもなります。
振り返りを行う
本来、自由であるべき1on1ですが、より充実した対話にするためには、しっかりと振り返りを行うことも大切です。たまに人事などの第三者が同席をするか、これまでの対話について共有することで、上司が自分自身では気付くことができない客観的な視点から上司と部下の対話を評価し、改善することも効果的です。
または、当事者である上司と部下がその日の1on1について共に振り返ることも有効です。「今日はこんなことを話せてよかった」という感想を、双方が確認し合うことができれば、次回以降の1on1はさらに有益なものになるはずです。
企業としての環境整備も大切
1on1を通じて部下の本音を引き出せても、それに即したアドバイスや最適な成長支援によって、しっかりと応えることができなければ、実りある結果にはなりません。こうした状況に陥ることを防ぐためには、上司に対してティ―チングやコーチング、フィードバックのスキルを学ぶ機会を提供することも、会社に求められることのひとつです。
また、先ほど上司が1on1を記録する重要性について触れましたが、会社が記録をデータベース化しておけば、上司や部下が異動したのちも連続性をもって部下のサポート、支援に活用することができます。
1on1の効果を最大化するためには、企業側の環境整備も重要です。
まとめ
1on1の効果を高めるために、上司本人、そして会社側が押さえおくべきポイントは以下の4つです。
・短い時間でも定期的に実施する
・対話をスムーズにするためにも簡単なテーマを決めておく
・しっかりと振り返りを行う
・上司側のコーチングスキル習得の支援や対話内容の記録などができる環境を整える
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