組織内の円滑なコミュニケーションや部下の成長支援のために「1on1」を取り入れる企業が増加しています。しかし、1on1の実施によって成果が出る職場もあれば、思うように成果が出ない職場もあるのも現実です。
今回は、効果を発揮している1on1に見られる特徴についてお伝えします。
部下のための時間であるという認識をもつ
1on1を有益な時間にするための最初の一歩は、「1on1は部下のために行うもの」という前提を、上司がきちんと認識することです。上司は、せっかく部下と顔を合わせるのだからと、業務の進捗を確認し、指示を伝える時間にしようと考える人も少なくありません。
しかし、1on1は、部下の本心を知ることで組織改善やキャリア形成支援につなげ、互いを理解し合うことで心理的な安全性を向上させて、部下のパフォーマンスとコミットメントを引き出し、高めるために行うものです。1on1の効果を高めるためにも、「部下のため」という本質を外さないように進めることが大切です。
上司と部下の双方が目的を共有する
1on1をうまく機能させるためには、何のために時間をとって話し合うのかを、上司と部下の双方が目的を認識して臨むことも大切です。ただ義務的に顔を合わせるだけでは、有益な話し合いにつなげることはできません。上司から「1on1は部下のために行うもの」という認識をすり合わせた上で、部下が話しやすい環境を整えるようにしましょう。
また、1on1で話すテーマは、部下が「普段業務で質問できなかった内容」や「日常生活で抱えている悩み」など、出来るだけ部下に決めてもらい実施しましょう。
1on1を進める上では、上司は傾聴の姿勢を取り部下のパーソナルな部分も含め理解するよう励み、より良いマネジメントにつなげられるようにしましょう。
目的に縛られすぎない
「今日はこんな成果を出そう」といった強過ぎる目的意識は、自由な話し合いが基本となる1on1ではマイナスに働くことがあります。相手に関心を持って向き合うためには、細かいルールに縛られるのではなく、自由に対話を重ねることで、部下の側が「いろんな話を聞いてもらえた」と実感できる機会にすることを心がけましょう。
最後は聞く力や導く力が大切
相手の話を聞くのが1on1の基本といっても、十分な信頼関係ができていない状態で、いきなり上司が「仕事をすることの目的は?」といった大き過ぎる質問をしても、部下は戸惑うばかりでしょう。上司は傾聴力やコーチーングスキルを管理者としての基礎的なコミュニケーション力として備えることが大切です。それらのスキルを活かすことで、部下がリラックスして受け答えでき、自分から話をしたいと思える雰囲気もつくりやすくなります。
例えば、何かに困っている部下には、
「解決するために参考にできそうな過去の経験はない?」
「あなたが尊敬する人なら、その問題にどう対処すると思う?」
といった、問いかけのバリエーションを持つことで、課題に直面した部下が自ら問題点を客観視したり、解決策を導き出すことを後押しできます。
このように、部下を支援してサポートし、課題の解決を後押しするためには、傾聴によって部下の状況を良く理解し、部下の置かれた状況や課題の性質などに合わせてコミュニケーションをとる意識と訓練が必要です。
まとめ
上司が部下の思いや悩みに寄り添って、サポートするための1on1では、「話したい」「もっと聞いてほしい」と部下が思える環境を作り、部下の話を、心からの関心を持って聞くことが大切です。そのためにも以下のポイントをしっかりと意識するようにしましょう。
・「1on1は部下のための時間」という認識を共有する
・事前に対話のテーマを決める
・目的に縛られすぎず、自由な対話を優先する
・上司が話を聞くためのスキル(例:コーチング等)を学べるようにする
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