人材育成コラム
2022.12.27 リーダーシップ

効果的なリーダーシップ育成実践例(1)

今回から2回にわたり、リーダーシップ研修の事例についてご紹介します。

某損保会社のケース

今回ご紹介するのは、某損保会社で実施した、女性リーダー養成のための研修事例です。こちらの会社では当時、多くの男性マネジャーが活躍している一方で、女性で管理職として登用される方は数えるほどしかいませんでした。

当時は、ビジネスにおけるダイバーシティの重要性は今ほど認識されていませんでした。労働人口が減少していく未来を見据えて、女性の力をより積極的に活用していくためにも、まずは女性社員たち自身の意識を変えていくところからはじめたいという課題をお持ちになっており、弊社でコンサルティングをさせていただきました。実際に課長代理を務める女性社員数名を対象に行った調査でも、

「なるべくならリーダーにはなりたくない」

という回答が大部分を占めており、仕事に取り組む上での意識を強化し、キャリア形成を支援することが研修の主題となりました。

リーダー研修の基本は経験学習

リーダーの養成においては、座学だけではなく、実際に職場で部下をマネジメントする中での試行錯誤から、より具体的な実践に根差した学びを深める「経験学習」が何よりも重要です。

同社の研修でも、リーダーに必要なマインド、コーチングなど具体的なスキルに関する講習や、同社のリーダーやマネジャーたちが経験してきた事例から学ぶケーススタディに加えて、受講者にリーダーとしての具体的な行動目標を設定してもらい、実践と振り返りのなかで学んでいくことに重点を置きました。

初回はリーダー像を固めるところから

女性リーダー育成は、1年の実践期間をとり、その間、振り返りの機会を含む計3回の研修を行いました。

初回の研修では、目標の設定とそれに紐づくToDoの設定を行いました。

目指したいリーダー像をイメージし、メンバー同士で意見交換をすることで、自分が部下の立場だったら、「こんなリーダーのもとで働きたい」という思いをより具体的に掘り下げることで、上司としての自分の目指すべき方向性や、リーダー像を明確にしていきました。

その上で、次回の研修までにリーダーとしてのありたい姿に向けての課題と具体的な取り組み事項を設定しました。

2回目以降は、振り返りを中心に

2回目以降の研修では、目標を達成するための取り組みや、その結果についての振り返りを行いました。

前回の研修から今回の研修までの約○カ月間、リーダーとしてどのようなチャレンジをして、その成果や部下からの反応はどのようなものだったのかについて、詳しく検証することで、次に取り組むべき課題を浮き彫りにします。その上で新たな施策を考え、さらに実践を重ねていくことで、受講者一人ひとりが目標とするリーダー像に近づいていきました。

また同時に、自分が周囲からどのように見られているかを正しく把握するための「自己認識力」を高めるため、上司からの評価やフィードバックもしっかりと行いました。

意識の変化によって、女性管理職数も増加

この研修を経て実施した女性社員の意識調査では、リーダーとしてチームをけん引することに関して、「やってみたい」という前向きな意見が多くを占める結果となり、非常に顕著に効果を確認することができました。

さらに数年度の追跡調査、検証では、女性管理職の人数が研修前の5%前後から18%と大幅に上昇。マインドの変化への働きかけと、職場での実践をベースとした経験学習の積み重ねによって、活躍する女性リーダーが増加しました。

まとめ

正しい目標設定と、それに基づく経験学習を重ねていける環境づくりで、リーダーを務めることに対する社員の前向きな意識を育むことで大きな成果を得た同社。リーダー研修では、人を率いるための技術やスキルだけではなく、リーダーとしてのマインドを育むことを意識しましょう。

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