人材育成コラム
2022.11.11 フォロワーシップ

効果的なフォロワーシップ育成実践例

多様な発想を取り入れ、ビジネスのチャンスを広げるためにも必要なものとしても注目されているフォロワーシップ。
今回は、そんなフォロワーシップ育成に効果を示した、ある企業の「フォロワーシップ研修事例」についてご紹介します。

大手鉄鋼メーカーのケース


今回ご紹介するのは、某鉄鋼メーカーで実施した、入社2年目のメンバーを対象としたフォロワーシップ研修の事例です。

若手にも積極的にチャンスを提供する風土で知られる同社では、早いうちからフォロワーシップを意識することで、自ら課題を発見し、PDCAを回しながら課題を解決できる人材の育成に注力していました。

この年代のメンバーが意識すべきフォロワーシップは、メンバーシップや自己成長により近いものです。

まずはチームの中で与えられた役割をしっかり果たすことで自ら成長し、それによって貢献度を上げていくのが最初のステップそんな経験の積み重ねがいずれ、顧客起点の発想や、それに基づく提案や提言など、チームを活性化するフォロワーシップの土台になります。

できることを広げる


若手にとっては、自らが成長することこそがチームに貢献できることでもあります。
成長するためには、今の能力を正しく自覚すること、そして、足りないスキルを身につけるための具体的な方法を学ぶ必要があります。

そこで研修では、まず2年目までに身につけたスキルの棚卸しを行ない、その後、成長のためにクリアするべき大きな課題を一つひとつの要素に分解し、それぞれに対して具体的にアプローチしていくための方法や、ケーススタディーで課題解決のヒントを得るなど、自らの成長に欠かせない基本的なスキルや方法論を学んでもらいました。

何を求められているかを知る


次に行ったのは、チームの中で自分が果たすべき役割の確認です。
チームとして目指すべき成果や、そのために上司が期待するパフォーマンスについて考えることで、それらに応える方法が明確になります。
これらは顧客起点でサービスのあり方を考えることにもつながっていきます

また研修では、面談などで上司が自分をどのように評価しているかを正しく知る機会も設けるようにしました。

例えば、ビジネスの基本である「報連相」について、本人はできているつもりでも、上司からは「まだ足りない」と評価されることもあります。
それが「報告はしているが、遅い」からなのか、「都合のいいことしか報告しない」からなのか、理由をはっきりと知ることで、自分の現状や改善点を正しく把握できるようになります

何をしたいのかを自覚する


若手社員ががんばる姿に刺激を受けた経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

新入社員が実直かつ前向きに仕事に取り組み成長する姿を周囲に示すことは、若手のフォロワーシップのベースであり、発揮できる最大の影響力といえます
そんな行動の起点となる主体性や当事者意識は、「自分は何がしたいのか」「どんな時にやりがいを感じるのか」に対する気づきから生まれます

そこで研修では、「誰のために成果を出すのか」「どんな目的のために自分たちの事業やサービスはあるのか」といったビジョンやパーパスを伝えるとともに、その中で自分自身はどんなことにやりがいを感じるのかを一人ひとりに考えてもらう機会を設けました。

「顧客の利益に貢献したい」「仲間のために仕事がしたい」など、答えはさまざまですが、自分が大切に思うことをはっきりと自覚することが、主体的に仕事に向き合う姿勢を育み、行動を促すことにつながっていきました。

効果を確認する


フォロワーシップで最も大切な当事者意識を育むためには、自らが率先して働きかけたことが周囲に与えた影響、つまり、その成果を本人がきちんと把握できることが大切です。
同社の研修でも定期的な振り返りを行い、意識して実行したことが、どのような成果につながったかを確認するようにしました。

こうしたさまざまな取り組みを通じ、3年目に入るころにはメンバーの多くがチームのために主体的に課題解決に取り組むようになりました
人材開発のご担当者様からも「若手の意識が高まった」とのご評価をいただき、人材開発の側面から事業をご支援させていただくことができました。

まとめ


フォロワーシップは、主体的に課題解決に取り組むための知識やスキル、チーム内における自らの役割に対する理解、そして、率先して業務に向き合う姿勢や動機がそろった場合に大きな効果を発揮します。
研修では、具体的な指導と実践、そして正しい振り返りによって、それらを一つひとつ育んでいくことが大切です。

【関連テーマ】

◆チームの成果を最大化する「フォロワーシップ」育成 基本その1

◆チームの成果を最大化する「フォロワーシップ」育成 基本その2

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