新入社員にとって、社会人としての第一歩となる新入社員研修。企業にとっても、新入社員研修でどんなことを伝えていくかは、スムーズな受け入れ、そして戦力化のためにも重要なテーマです。
今回は、そんな新入社員研修が持つもうひとつの意味、そして新入社員に身につけさせたい能力について解説します。
まずは職場や環境に馴染ませよう
新入社員研修を行う目的のひとつは、新入社員をスムーズに職場や新しい環境に馴染ませ、早い段階で活躍できる状態にすることです。
新しい環境には誰しも萎縮しがちなものですが、それを乗り越えられるよう支援し、心理的安全性を確保することは、これから始まる新たな生活を前向きに受け入れ、一つひとつの学びにも主体的に向き合うマインドを育むことにつながります。
また少子高齢化による売り手優位の市場状況や終身雇用に対する価値観の変化に伴い、若手社員の転職に対する意識的なハードルが下がったことで、入社後すぐに退社してしまうというケースも増加しています。新入社員を早期に職場に馴染ませることには、早期退社を防ぐという意味合いもあります。
帰属意識を高めよう
組織の一員としてパフォーマンスを発揮するためには、会社やチームとの一体感も必要ですが、働き方改革に伴う残業の抑制やリモートワークの普及で社内での人間関係が希薄になっている現在、組織に対し帰属意識を持つことが難しい状況も生まれています。
それを防ぐためには、新入社員が周囲としっかり連帯できるようにすることが大切です。新入社員研修においても、同期と取り組むグループワークをはじめ、採用担当や先輩社員とのディスカッションなど、仲間との絆や一体感を得られる機会を設けるようにしましょう。
入社前に身に着けさせるべき能力とは
新入社員が1人前の戦力として認められるようになるためには、会社理解やPDCAなど基本的な仕事の進め方に関する「知識」、ホウレンソウやビジネスライティングなどに関する「スキル」、そして社員としての自覚や主体性につながる「態度」という3つを身につけていく必要があります。
さらにそのなかでも、1年目の必須科目といえるのが「ビジネスマナー」「報連相」「PDCA」です。
ひとつめの「ビジネスマナー」は、「社会常識」と言い換えることもできます。
具体的には、あいさつや言葉づかいなどの基本的なものが中心ですが、それだけにしっかりと実践できないと周囲との間に壁が生まれる可能性があります。
最初に最低限のビジネスマナーを身につけさせることができれば、良好な人間関係を構築しやすくなるでしょう。
次の「報連相」とは、社内におけるコミュニケーション全般のこと指します。
同じ年代の仲間とのコミュニケーションが中心だった学生時代とは異なり、社会に出ると年上の上司をはじめ、さまざまな人と接する機会があります。
報連相を身に付けさせるためには、対面でのコミュニケーションの機会などを積極的に設けましょう。
最後の「PDCA」とは、一つひとつの行動に対する振り返りの習慣のことです。
新入社員研修で取り組んだことはもちろん、その後の実務における工夫の一つひとつが、どのような結果につながったかを確認する習慣を身につけさせることで、社員の成長スピードが圧倒的に早くなります。
必須科目以外で学ばせるべきことは?
先に述べた必須科目をしっかりと押さえることができれば、1年目としては十分合格といえます。
その先は、課題などに対して具体的にアプローチするための「具体化スキル」や、仕事に対して、継続して前向きに取り組むための「知的好奇心」など、あらゆる仕事に広く活用できる思考法などを学ぶ機会を設けるようにしましょう。
まとめ
新入社員研修は、新入社員たちが新たな環境や職場に馴染み、ビジネスの世界で成長や活躍していくための土台を固めていくためのものです。
実務スキルを学ぶだけではなく、未来につながる能力や仲間との絆の大切さを認識させる場にすることで、会社と新入社員が強く結びつくことができるようにしましょう。