人材育成コラム
2022.08.30 フォロワーシップ

チームの成果を最大化する「フォロワーシップ」育成 基本その1

組織での成果を最大化する上で、リーダーシップと同じく重要な概念として、近年、重視されているフォロワーシップ。今回は、その定義や注目されている理由などについてお伝えします。

フォロワーシップの定義とは

フォロワーシップとは、上司やリーダーを支え、チームとしての目的達成に貢献するフォロワー(部下)の行動を示します。

こう書くと、リーダーの思いを実現するために、一糸乱れずに従う部下たちの姿をイメージされるかもしれませんが、実際はその逆です。

自分はチームの一員としての責任をどのように果たしていくのか、チームの成果を最大化するためには何ができるのかなどについて、自ら考えて行動し、リーダーやマネジャー、そして周囲の仲間に働きかけていくといった、メンバーの主体性や能動性を表しています。

そんなフォロワーシップを語る上で最も重要なキーワードといえるのが、当事者意識です。リーダーが示した方針やチームとしての目標をしっかりと理解した上で、その実現のために自ら率先して行動できるようにするのが、組織を強くするフォロワーシップの基本となります。
リーダーの影響力をリーダーシップというなら、フォロワーシップは、メンバーそれぞれがオーナーシップを発揮しながら、互いに良い影響を与え合っていくことといえるでしょう。

今、なぜフォロワーシップが重要といわれるのか

これに関しては複数の理由が考えられます。まずひとつは、価値観や消費行動の多様化です。

市場のニーズが多様化、細分化している現在は、いわば正解がない時代。そんな時代のビジネスで成果を出し続けていくためには、顧客起点で、全く新しい可能性に向き合っていく姿勢が欠かせません。しかし、たった1人のリーダーが、目まぐるしいスピードで変化していく顧客の行動やニーズの全てを把握することは不可能です。

つまり、かつてのように強いリーダーによる上意下達のスタイルでは、そもそも成果を出すことが難しい状況が生じているといえるでしょう。

顧客により近い存在である現場のメンバーが、スピード感を持って状況の変化を読み、素早く的確にビジネス上の判断をしたり、意見を上程するアジリティの重要性が認識されるようになったことも、個々の自主性を重視するフォロワーシップに注目が集まっている理由であると考えられます。

また、コロナ禍以降、急速に普及したリモートワークなど、働き方の多様化が進んだことで、多くの企業が自律自走型の人材の必要性をより強く感じるようになったことも理由のひとつといえるでしょう。

フォロワーシップに不可欠な心理的安全性

例えば、業務の改善点について積極的に提案したとしても、それを受ける上司が嫌な顔をしたり、ネガティブな反応ばかりを繰り返していたら、どうなるでしょうか。

おそらく、部下の立場では、それ以上の提言や提案をしなくなるはずです。つまり、フォロワーシップとは、上司・リーダーとメンバーの関係性のなかで成り立つものであり、しっかりと発揮されるためには、リーダーの側の意識や姿勢、態度も変えていく必要があります

さまざまな意見やアイデア、さらには自分自身の思いについて、気兼ねなく発信することができるという安心感、つまり、心理的安全性をしっかり確保することが、フォロワーシップを発揮できる人材やチームを育てる第一歩です。

強みの掛け合わせがビジネスの可能性を広げる

かつて、多くの日本企業では、社員の際立った個性よりも、組織全体に適合しやすい人材であることを重視して採用や人材の育成が行われる傾向がありました。しかし、市場や顧客の価値が大きく多様化する時代において重視されているのは、社員個々が持っている個性や特長を認め合い、強みを掛け合わせていくという発想です。

一人ひとりが自分の強みを存分に発揮し、周囲にポジティブな影響を及ぼすフォロワーシップが、これからのビジネスを勝ち抜く組織にとって、より不可欠なものになっていくでしょう。

少しでも皆様のヒントとなれば幸いです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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